Webマーケティングにおいて、リスティング広告を運用する上での「キーワード選定」は最も重要なことの一つです。キーワード選定を制するものはリスティング広告を制すといっても過言ではありません。リスティング広告はその特性上、設定したキーワードと、ユーザーが検索する語句との関連性によって配信されるため、最適なキーワードを選定できなければ、効果のないところへ配信され、広告効果が望めません。
このコラムでは、リスティング広告の基礎知識、概要から、リスティング広告においてキーワードが果たす役割、キーワード選定の手順や方法について、理由も踏まえて丁寧に解説します。なお、このコラムでは、Google広告での運用を前提として解説しています。
リスティング広告を運用しているけど集客でなかなか成果が出せず悩んでいる人や、これからリスティング広告を始めようと考えている人に向けて役立つ情報を提供します。ぜひ最後までご覧ください。
リスティング広告における基礎知識
リスティング広告とは?
リスティング広告とは、検索連動型広告とも呼ばれ、検索エンジンの検索結果ページやサイトの画面上に表示・掲載されるテキスト広告のことです。画像や動画を表示するディスプレイ広告とは異なり、ユーザーが特定の検索キーワードを検索した際に、そのキーワードに関連する広告がWebサイトに掲載されるため、検索意図に基づく、比較的高いターゲティング精度が特徴です。
Google広告やYahoo!広告が代表的なプラットフォームであり、地域や時間、デバイスなど、さまざまな条件に基づいて広告を配信できる柔軟性を備えています。
また、リスティング広告は、Google広告やYahoo!広告などのプラットフォームを通じて出稿され、クリック課金型(PPC:Pay-Per-Click)で費用が発生します。この広告形式は、ユーザーの検索意図に応じた広告を表示できるため、基本的には高いコンバージョン率が期待できます。
キーワードとは?
リスティング広告におけるキーワードとは、ユーザーが検索した語句(クエリと呼びます)に対して、表示される広告を関連させるために設定する単語、またはフレーズのことを指します。
例えば、ユーザーが「東京 ランチ」というクエリで検索を行った際に、それに関連する広告を表示させるために、あらかじめ「東京 ランチ」というキーワードを設定することで、ユーザーのWebの画面上に広告を表示させることができます。そのため、リスティング広告を表示するために、ユーザーが検索すると思われるキーワードを想定し、適切なキーワードを考える必要があります。
キーワード選定が広告成功に与える影響
キーワード選定が広告成功に与える影響は非常に大きいです。適切なキーワードを選定することで、以下のような、パフォーマンスの向上が期待できます。
ターゲットの精度向上
検索意図に合致した広告が表示されるため、無駄なクリックを減らし、ターゲット層に効率的にリーチできます。
クリック率(CTR)の向上
関連性の高いキーワードを使うことで、広告がクリックされる確率が上がります。
広告費の削減
不要なクリックを防ぐことで、費用対効果を最適化できます。
反対に、不適切なキーワード設定は、クリック率の低下や広告費の浪費を招く可能性があります。そのため、選定段階から慎重な分析が必要です。
キーワード選定の手順
ここからは、具体的なキーワードの選定手順について解説します。
ユーザーの検索意図を理解する
ユーザーが検索する際の意図を理解することは、キーワード選定において重要なポイントです。ユーザーの検索意図は、大きく以下の3つに分類されます。仕組みを理解し、効果的なキーワード選定を行いましょう。
情報収集型
情報を得るための検索(例:「SEO キーワード 選び方」)。
比較検討型
商品やサービスを比較するための検索(例:「名古屋 ランチ 比較」)。
購入意欲型
具体的な購入や行動を目的とした検索(例:「名古屋 ランチ 予約」)。
これらの意図に合わせてキーワードを設定することで、ユーザーの検索行動に合った広告を表示でき、成果を最大化できます。
ターゲットを分類する
広告運用を行う際には、商品、商材、サービスについての認知度や関心度に基づいてユーザーを分類します。ユーザーの分類には、大きく分けて2種類に分けることができます。
顕在層
顕在層とは、商品やサービスに対して認知しており、関心が高いユーザーのことを指します。関心が高いことが前提であるため、欲しい商品やサービスについてある程度の知識を持っており、明確なニーズが存在します。顕在層は検索を行う際、「ナイキ スニーカー」「Canon プリンター」など、具体的な内容で検索を行うことが多いです。そのため、キーワードを設定する際にも、ブランド名や商品名などを入れた具体的なキーワードを設定します。
潜在層
潜在層とは、自社について認知しておらず、商品やサービスに対してあまり知識を持っていないユーザーのことを指します。認知度や関心が低いため、キーワードで固有名詞などの具体的な内容を設定しても広告が表示されない可能性が高いです。そのため、キーワードを設定する場合は、「スニーカー おすすめ」「プリンター 家庭用」など、広めのキーワードで設定します。
キーワードを分類する
続いて、キーワードについて分類を行います。キーワードは大きく分けて2種類に分類することができます。
指名系キーワード
指名系キーワードとは、商品やサービス、ブランドなどの名称を具体的に指定したキーワードのことを指します。前述した「ナイキ スニーカー」「Canon プリンター」などはブランド名を記載しているため、指名系キーワードに属し、主に顕在層が検索する可能性が高いです。また、顕在層は自身のニーズが明確であり、広告がクリックされた場合、コンバージョンにつながる可能性が高いです。そのため、指名系キーワードは顕在層へのアプローチとして有効な手段です。
一般系キーワード
一般系キーワードとは、具体的な固有名詞を使わないキーワードのことを指します。「夏服 おすすめ」などのキーワードが一般系キーワードに分類されます。
一般系キーワードは、同じキーワードで入札している競合が多く存在するため、クリック単価が高騰する傾向がありますが、自社やその商品、サービスに対する認知度が高くない場合は、一般系キーワードを設定するのが望ましいです。
また、指名系キーワードと一般系キーワードの他にも、検索ボリュームの大小やキーワード構成の長さに応じた分類もあります。
ビッグキーワード
ビッグキーワードとは、検索ボリュームが多く、競争率が高い一般的なキーワードのことを指します。
例えば、「旅行」「保険」などのキーワードはビッグキーワードに属しており、競合も多く存在するためクリック率は高くなる傾向がありますが、ビッグキーワードで広告が上位表示されれば、多くのユーザーに広告が表示され、流入率が上昇する可能性が高まります。
ミドルキーワード
ミドルキーワードは、ビッグキーワードよりも具体的で競争が緩やかなキーワードのことを指します。「名古屋 旅行」「格安 保険」など、複合したキーワードが該当する場合が多いです。
スモールキーワード
スモールキーワードは検索ボリュームが少なく、認知度が低い商品名や、複合キーワードである場合がほとんどです。認知度が低く、かつ複合キーワードである場合、ロングテールキーワードと呼ばれる場合もあります。検索ボリュームが少ないため広告が表示される機会は少ないですが、競合が少なく、そのキーワードを検索された場合は上位に広告が表示される可能性が高いです。また、競合が少ないためクリック単価が安いことも特徴です。スモールキーワードでコンバージョンを狙うのも場合によっては手段としては有効です。
キーワードをプランナーを活用してキーワードを決める
キーワードの分類について理解できたら、実際にキーワードを決めていきます。キーワード作成においては、「キーワードプランナー」というツールを使用することをおすすめします。キーワードプランナーはGoogleが提供している費用に便利なツールで、キーワードプランナーを活用することで、商品やサービスに関連するキーワードを見つけたり、キーワードの検索回数や推移を分析する、キーワードごとの推奨入札単価を確認する、
コンバージョン数、クリック数、表示回数の予測値を把握するといったことが可能になります。
キーワードプランナーの登録方法
Google広告アカウントをすでに作成している場合は、
管理画面の ツール>プランニング>キーワードプランナー
からツール画面へ移動できます。
Google広告アカウントを作成していない場合は、以下の手順でツール画面を表示することができます。
キーワードプランナーを開き、右上の「ログイン」をクリックします。Googleアカウントのメールアドレスとパスワードを入力することでログインできます。
ログインすると、「アカウント設定の確認」というページへ遷移します。国やタイムゾーン、通過を選択し、「続行」をクリックします。
その後、アカウントとお支払いの詳細設定画面へ移動します。必要事項を入力し、「続行」をクリックします。
以上で設定は完了です。「キーワードプランナーを使ってみる」をクリックすることで、ツール画面を表示できます。
キーワードプランナーの使い方
1.キーワードを見つける
ツール画面の「新しいキーワードを見つける」をクリックします。
遷移した画面で、上位表示を狙いたいキーワードや、商品・商材に関連のするキーワードを入力し、「結果を表示」をクリックします。
入力したキーワードに関する結果が表示されます。この画面で、目安となる月間の平均検索ボリュームや、競合性の高さ、入札単価などを確認することができます。
表示されたキーワードは、画面右上「キーワード候補をダウンロード」からダウンロード可能です。これらのキーワード候補を確認し、新たなキーワードを探してみましょう。
マッチタイプを設定する
キーワードを設定する際に重要となる設定項目の一つに、マッチタイプがあります。マッチタイプとは、広告の表示範囲を調整できるキーワードの設定のことを指します。選択するマッチタイプによって、設定したキーワードとユーザーが検索するクエリの関連する範囲を拡張、または縮小することができます。
マッチタイプには、以下の3つの種類があります。
完全一致
完全一致は、設定したキーワードに対して、完全に一致しているクエリ、または完全に一致していると判断できるクエリに対してのみ広告を配信することができるマッチタイプです。設定したキーワード以外でユーザーが検索した場合には広告は表示されないため、広告の無駄打ちを防ぐことができます。例えば、「北海道 旅行」というキーワードを完全一致で設定した場合、「北海道 旅行」や「旅行 北海道」などの、全く同じと捉えられるクエリに対して広告を表示します。
フレーズ一致
フレーズ一致は、キーワードと同じ意味を持つクエリに対して広告を配信することができるマッチタイプです。完全に一致するクエリはもちろん、類義語や、同じ意図だと判断されたクエリにも広告を表示します。例えば、「北海道 旅行」というキーワードをフレーズ一致で設定する場合、「北海道 旅行 おすすめ」、「北海道で旅行したい」など、同じ意味を持つ検索クエリに対しても広告の表示が可能です。
部分一致
部分一致は、最も拡張性の高いマッチタイプです。システムがキーワードと類似していると判断したクエリに対して広告を配信します。例えば、「北海道 旅行」というキーワードを部分一致で設定した場合、「北海道 ツアー」や「札幌 旅行」などのクエリも関連する語句に含まれ、広告が配信される可能性があります。
完全一致の場合、絞った検索クエリに対してのみ広告を配信することができる一方で、限られたユーザーにしか広告が配信されないため、費用の消化が進まないなどのデメリットもあります。また、部分一致の場合、さまざまなクエリに対して広告を配信できる反面、拡張範囲の広さから、コンバージョンに繋がらないクエリからのクリックにつながってしまう可能性もあるため注意が必要です。状況に応じて最適なマッチタイプを選択することも重要な要素です。
除外キーワードを設定する
マッチタイプについて解説しましたが、広い範囲で広告を表示できる部分一致やフレーズ一致の場合、意図しないクエリに対して広告が表示されてしまうことは多くあります。そのような時には、除外キーワードを設定しましょう。除外キーワードを設定することで、除外キーワードとして設定した語句で検索された場合には広告を表示しないようにすることができます。
除外キーワードの設定方法は、以下の通りです。
Google広告の管理画面左側の「キャンペーン」をクリックし、「オーディエンス、キーワード、コンテンツ」を選択します。
画面中央「検索キーワード」で「除外検索キーワード」を選択し、「+マーク」をクリックします。
切り替わった画面で除外設定したいキーワードを入力し、下の「保存」をクリックすることで追加が完了します。
広告効果を最大化するキーワード運用のポイント
キーワードを選ぶ方法・手順について解説しましたが、一度キーワードを設定するだけでは、継続的な成果は得られません。ここでは、広告の効果を最大化するために必要なキーワード運用のポイントを紹介します。
キーワードの定期的な見直しと改善
広告運用において、キーワードは静的なものではなく、状況に応じてこまめに調整・改善することが重要です。季節性やトレンドを考慮し、キーワードリストを定期的に更新することが重要です。また、必要に応じてマッチタイプを変更することも重要です。複数のキーワードの掛け合わせを考えることも有効な手段といえます。
CPC(クリック単価)の最適化でコストを抑える
高額なクリック単価を避けるためには、入札額を最適化することが必要です。競争が激しいキーワードを避けつつ、コスト効率の良いキーワードを見つけることがポイントです。
キーワードグルーピングを行う
グルーピングとは、同じ傾向を持つグループにキーワードを分類することです。キーワードをテーマごとにグルーピングすることで、広告文をよりターゲットに適したものにし、クリック率を向上させることができます。また、キーワードグルーピングは、検索エンジンへの認識向上にもつながります。
キーワード選定の裏技とテクニック
ここでは、キーワードを選ぶ際のコツについて簡単に紹介します。
過去の検索データを活用した効果的なアプローチ
過去の検索データを分析することで、ユーザーが実際にどのような言葉を使っているかを把握できます。この情報を基に、新しいキーワードを選定したり、既存のキーワードを調整したりすることが可能です。
他社の成功事例から学ぶ
競合他社の成功事例を調査し、どのようなキーワードが効果的かを参考にすることが重要です。競合の広告文やキーワードリストを研究し、自社の戦略に活かしましょう。
Googleトレンドを使ったキーワード戦略の最適化
Googleトレンドを活用することで、季節性やトレンドに応じたキーワード選定が可能です。特に、期間限定キャンペーンやシーズナルプロモーションにおいて効果を発揮します。
キーワード選定を専門家に依頼するメリット
ここまで、キーワードの選定方法について解説してきましたが、これらを自身で行うのは、初心者の方にとってなかなか難しいかもしれません。自社のリソースを節約するためにも、広告運用代行・広告代理店など、専門の会社に依頼するのも一つの手段です。ここでは、キーワードの選定を専門家に依頼するメリットを2つ紹介します。
自社のリソースを削減できる
キーワード選定には多くの時間と労力が必要であり、初心者の場合、さまざまな情報を調べながら行うことになりますが、専門家に依頼することでその負担を軽減できます。これにより、企業は他の重要な業務にリソースを集中できます。
豊富な実績とノウハウに基づいた選定が可能
専門家は当然、その道のプロであるため、豊富な経験と知識を持っており、効率的なキーワード選定と最適化を行います。これにより、広告効果の向上が期待できます。
キーワード選定を専門家に依頼する場合、当然手数料の支払いが発生します。自社のニーズや予算を踏まえて、慎重に検討することが重要です。また、代理店によってその特色や費用、得意な分野がそれぞれ異なるため、専門家へ依頼する際には、どの代理店が良いか、各代理店の資料をダウンロードしたり、電話で問い合わせや疑問に関する相談を行い、情報を集めてみるのが良いでしょう。
株式会社ArchRiseもキーワード選定に対応しています。
株式会社ArchRiseもリスティング広告運用に関して豊富な実績を有しており、キーワード選定も対応可能です。リスティング広告の他にも、SEO対策やSNS広告、コンテンツマーケティングなど多岐にわたるデジタルマーケティングに関するサービスを提供しています。弊社の豊富な実績とデータに基づいた最適な運用で、最後まで並走するパートナーとしてクライアントの目標達成を全力で支援します。
まとめ
キーワード選定は、リスティング広告の成功に欠かせない重要な要素です。今回この記事では、キーワード選定の基本知識から具体的なプロセス、注意点、専門家の活用方法までを解説しました。キーワード選定は終わりがなく難しいですが、少しずつコツコツと続けることで最適化されていきます。適切なキーワードを選定し、継続的に運用を最適化することで、広告効果を最大限に引き出すことが可能です。
この記事の内容を参考に、自社の広告戦略を見直し、リスティング広告の成果をさらに向上させ、ビジネス目標を達成しましょう!最後までお読みいただきありがとうございました。