リスティング広告のマッチタイプとは?使い分けやキーワード設定を解説

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リスティング広告は、ユーザーが検索エンジンに入力するキーワードに基づいて広告を表示するため、適切なキーワード選定が重要です。しかし、単にキーワードを選定するだけではなく、それに応じた「マッチタイプ」を設定することも、広告効果を最大化するための鍵となります。特に、予算を有効に活用し、狙ったターゲット層に効率的にリーチするためには、このマッチタイプの選択が広告パフォーマンスを大きく左右します。

たとえば、リスティング広告は幅広い検索クエリに対して表示できる反面、関連性の低いクエリにも広告が表示される可能性があります。そのため、マッチタイプを適切に設定しなければ、不要なクリックや広告費の浪費を招きかねません。本記事では、リスティング広告におけるマッチタイプの基本概念や種類、使い分け方、そしてそれぞれのメリットとデメリットについて詳しく解説していきます。リスティング広告を初めて運用する方や、既に運用している方でも、マッチタイプの使い分け方やキーワード設定を見直す際に役立てていただければ幸いです。

目次

 マッチタイプとは

リスティング広告におけるマッチタイプとは、広告が表示される際の「キーワードと検索語句の一致度合い」を指します。つまり、ユーザーが検索エンジンに入力した検索クエリと、広告主が設定したキーワードがどの程度一致しているかによって、広告が表示されるかどうかが決まる仕組みです。

このマッチタイプは、広告主が狙うターゲット層に広告をどの程度精密に配信できるかを調整する重要な要素です。マッチタイプを正しく設定することで、ターゲット層にリーチする精度が高まり、無駄な広告費を削減しつつ、コンバージョン率の向上を図ることができます。逆に、マッチタイプを誤って設定すると、広告が表示されるクエリが広がりすぎてしまい、ターゲット外のユーザーに広告が表示されてしまうリスクが高まります。

リスティング広告を運用する際には、キーワード選定と同様に、マッチタイプの設定をしっかりと行うことで、広告パフォーマンスを最適化することが可能です。ターゲット層の検索行動やニーズに応じたマッチタイプを活用し、効果的な広告配信を目指しましょう。

 マッチタイプには3種類ある

リスティング広告のマッチタイプには、主に3つの種類があります。これらのマッチタイプを理解し、適切に使い分けることで、広告の表示範囲やターゲットするユーザーの精度を高めることができます。

 完全一致

完全一致は、広告が表示される条件が最も厳しいマッチタイプです。このマッチタイプを選択すると、ユーザーが検索したクエリが設定したキーワードと完全に一致した場合のみ、広告が表示されます。

たとえば、設定したキーワードが「ランニングシューズ」だった場合、「ランニングシューズ」というキーワードでのみ広告が表示され、それ以外の類似語句や関連する検索語句では広告は表示されません。広告が表示される可能性は限定的ですが、非常に高い精度でターゲットユーザーにリーチできます。

完全一致のメリットは、無駄なクリックを減らし、広告費を最小限に抑えつつ、コンバージョン率の高いユーザーに広告を表示できる点です。また、完全一致を使用することで、商品やサービスに非常に高い購買意欲を持っているユーザーに対して、的確に広告を配信することができるため、特に高単価の商品やサービスを販売している場合に効果的です。

その反面、完全一致では広告の表示機会が限られるため、広範囲のトラフィックを期待することはできません。また、関連性のある検索クエリに広告が表示されないため、特定のニッチ市場を狙う場合には効果的ですが、広く認知を拡大する目的には向いていない場合があります。

 フレーズ一致

フレーズ一致は、完全一致よりもやや緩やかなマッチタイプです。設定したキーワードが検索クエリ内に「フレーズとして含まれている」場合に広告が表示されます。

たとえば、「ランニングシューズ」をフレーズ一致で設定した場合、「ランニングシューズ 女性用」や「安いランニングシューズ」など、設定したキーワードが一部含まれていれば広告が表示されます。ただし、「シューズ ランニング」のように、語順が異なる場合や、設定したキーワードの意味が大きく異なる場合は広告は表示されません。

フレーズ一致は、完全一致よりも広い範囲で広告を表示でき、関連性の高いクエリに対してターゲティングが行えるため、より多くのトラフィックを獲得しつつ、コンバージョン率も維持できるのが特徴です。また、フレーズ一致を活用することで、広告の表示範囲を広げながらも、関連性の高いターゲットユーザーに絞り込んでリーチできるため、効果的な広告運用が可能です。

ただし、フレーズ一致では、より広範囲の検索クエリに対して広告が表示されるため、クリック単価が上昇する可能性があります。そのため、フレーズ一致を使用する場合は、ターゲットクエリの関連性やクリック単価を慎重にモニタリングし、必要に応じて除外キーワードを設定することが重要です。

 インテントマッチ(旧:部分一致)

インテントマッチ(旧:部分一致)は、最も緩やかなマッチタイプです。設定したキーワードとユーザーの検索クエリが「類似している」と判断された場合に広告が表示されます。Google広告がユーザーの検索意図を分析し、キーワードが関連する可能性のある幅広い検索クエリに対して広告を表示する仕組みです。

たとえば、設定したキーワードが「ランニングシューズ」だった場合、「ジョギング靴」や「スポーツシューズ」など、直接的なキーワードとは異なるものの、関連性のある語句であれば広告が表示される可能性があります。インテントマッチは、ユーザーの検索意図を理解し、その意図に沿った検索語句に対して幅広く広告を表示するマッチタイプです。

このマッチタイプの大きなメリットは、非常に多くの検索クエリに対して広告を表示でき、トラフィックを大幅に増加させることができる点です。特に、潜在顧客層に対してアプローチしたい場合や、新規のマーケットを開拓したい場合に有効です。しかし、その一方で、意図しないクエリにも広告が表示されてしまうリスクがあり、クリック数が増える一方でコンバージョン率が低下する可能性があります。

 廃止:絞り込み部分一致

かつて存在した「絞り込み部分一致」というマッチタイプは、部分一致よりもやや精度の高いマッチタイプとして活用されていました。このマッチタイプでは、設定したキーワードの一部が検索クエリに含まれている場合にのみ広告が表示されるもので、ユーザーの検索意図に合致したクエリに対して広告が表示される仕組みでした。

たとえば、「+ランニング +シューズ」と設定すると、ユーザーが「ランニング用シューズ」や「ランニングシューズ 女性用」と検索した場合に広告が表示されていました。しかし、Google広告は2021年にこのマッチタイプを廃止し、現在では部分一致とインテントマッチに統合されています。

絞り込み部分一致が廃止された理由は、インテントマッチが進化し、より柔軟かつ正確にユーザーの検索意図を分析できるようになったためです。現在では、キーワードの選定やマッチタイプの活用において、より柔軟なインテントマッチが推奨されています。

 マッチタイプの記号

リスティング広告のマッチタイプを設定する際には、各マッチタイプに対応した特定の記号を使用して、キーワードを定義します。これにより、広告がどの範囲で表示されるかを簡単に制御することができます。記号を正しく使用することで、広告の表示条件を適切に設定し、無駄な広告費を抑えながら、効果的な広告運用が可能になります。

  • 完全一致は、キーワードを「[]」で囲みます。
    例: [ランニングシューズ]
  • フレーズ一致は、キーワードを「””」で囲みます。
    例: “ランニングシューズ”
  • インテントマッチは、特に記号を使用せず、そのままキーワードを入力します。
    例: ランニングシューズ

これらの記号を正しく使用することで、広告がどのような条件で表示されるのかを明確に設定でき、より精度の高い広告運用が可能です。特に、完全一致やフレーズ一致では、正確な記号の使用が重要であり、誤って設定すると意図しない検索クエリに広告が表示されてしまうことがあります。

 マッチタイプによる広告掲載の影響

マッチタイプの選定は、広告が表示される回数やクリック率、広告費用、そして最終的なコンバージョンに大きな影響を与えます。適切なマッチタイプを選ぶことで、ターゲットとなるユーザーに効果的にアプローチでき、広告費用を最適化しつつ、ROIを向上させることが可能です。

  • 完全一致を使うと、広告が表示される回数は少なくなりますが、ターゲットユーザーの精度が高いため、クリック率やコンバージョン率が上がる傾向にあります。特に、特定の商品やサービスを探しているユーザーに対して効果的です。
  • フレーズ一致では、ある程度ターゲットを絞りながらも、広告の表示回数を増やすことができ、クリック数を増加させる効果があります。さらに、より多くの関連クエリに対して広告が表示されるため、広範囲のユーザーにリーチできる利点があります。
  • インテントマッチでは、広範囲の検索クエリに対して広告が表示されるため、トラフィック数を最大化できますが、関連性の低いクエリにも広告が表示されるリスクがあるため、費用対効果が低下する可能性もあります。

各マッチタイプを上手に使い分けることで、広告のパフォーマンスを最大限に引き出すことができます。ターゲット層の特性や広告の目的に応じて、マッチタイプを適切に選定し、効果的な広告配信を目指しましょう。

 マッチタイプの使い分け方

リスティング広告で成果を上げるためには、適切なマッチタイプを使い分けることが重要です。マッチタイプの選定により、広告の表示回数、クリック率、そしてコンバージョン率が大きく変わります。ここでは、特にコンバージョンを最大化させたい場合や、コンバージョン単価を抑えたい場合の最適なマッチタイプの選び方を解説します。

 コンバージョンを最大化させたい場合

コンバージョンを最大化させたい場合、できるだけ多くのユーザーに広告を表示することが必要です。したがって、この場合はインテントマッチを積極的に活用するのが効果的です。インテントマッチは、設定したキーワードに関連する幅広い検索クエリに対して広告を表示するため、潜在顧客層を含む多くのユーザーにリーチできる可能性があります。

例えば、インテントマッチを使用して「ランニングシューズ」というキーワードを設定した場合、「ジョギングシューズ」や「トレーニングシューズ」といった類似クエリにも広告が表示されます。これにより、ターゲット層を広げることでコンバージョンを最大化できるチャンスが生まれます。ただし、インテントマッチは関連性が低いクエリにも広告が表示されるリスクがあるため、常に広告パフォーマンスをモニタリングし、除外キーワードを設定することで無駄なクリックを減らすことが重要です。

また、フレーズ一致もコンバージョンを最大化するために効果的です。フレーズ一致は、関連性の高い検索クエリに広告を表示しつつ、広い範囲のターゲットにリーチすることができます。特に、広告の表示機会を増やしつつ、無駄なクリックを減らすためには、フレーズ一致とインテントマッチの組み合わせが有効です。

 コンバージョン単価を抑えたい場合

一方で、コンバージョン単価を抑えたい場合には、より精度の高いターゲティングが求められます。この場合、完全一致を利用するのが最適です。完全一致は、設定したキーワードとユーザーの検索クエリが完全に一致した場合にのみ広告が表示されるため、関連性の低い検索クエリに広告が表示されるリスクを最小限に抑えられます。

例えば、「ランニングシューズ」を完全一致で設定すると、ユーザーが「ランニングシューズ」と正確に検索した場合にのみ広告が表示され、無関係な検索クエリに対しては表示されません。これにより、広告費の無駄遣いを防ぎ、広告予算を効果的に使用できるため、結果的にコンバージョン単価を抑えることができます。

また、フレーズ一致も、ターゲット層を広げつつも、コンバージョン単価を抑えるために役立ちます。特に、特定の商品やサービスに対して高い関心を持つユーザーにリーチしたい場合には、フレーズ一致を活用し、余分なクリックを避けることが可能です。

 マッチタイプの設定方法

リスティング広告のマッチタイプの設定方法は、広告プラットフォームごとに多少異なりますが、基本的な操作は同じです。ここでは、Google広告、Yahoo!広告、Microsoft広告の各プラットフォームでのマッチタイプ設定方法を解説します。

 Google広告

Google広告でマッチタイプを設定するには、まずキャンペーンや広告グループで設定したいキーワードを選択し、そのキーワードに適したマッチタイプを指定します。Google広告では、以下のようにマッチタイプを設定します。

  • 完全一致の場合:キーワードを角括弧「[]」で囲む。例: [ランニングシューズ]
  • フレーズ一致の場合:キーワードをダブルクォーテーション「””」で囲む。例: “ランニングシューズ”
  • インテントマッチ(旧:部分一致)の場合:特に記号を使用せず、キーワードをそのまま入力します。例: ランニングシューズ

Google広告では、これらのマッチタイプを設定した後、ターゲットとなるユーザーにどのようなキーワードが表示されるかをプレビューすることができます。また、広告のパフォーマンスをモニタリングし、必要に応じてマッチタイプを変更することが可能です。

 Yahoo!広告

Yahoo!広告でも、Google広告と同様にマッチタイプを設定することが可能です。Yahoo!広告では、以下の手順でマッチタイプを設定します。

  • 完全一致の場合:キーワードを角括弧「[]」で囲む。例: [ランニングシューズ]
  • フレーズ一致の場合:キーワードをダブルクォーテーション「””」で囲む。例: “ランニングシューズ”
  • インテントマッチの場合:特に記号を使用せず、キーワードをそのまま入力します。例: ランニングシューズ

Yahoo!広告では、Google広告と同様に広告パフォーマンスを確認し、設定したマッチタイプが広告配信にどのように影響しているかを把握することができます。また、キャンペーンの設定画面で、キーワードごとにマッチタイプを簡単に変更することができます。

 Microsoft広告

Microsoft広告でも、Google広告やYahoo!広告と同様にマッチタイプを設定することができます。Microsoft広告でのマッチタイプ設定は、他のプラットフォームとほぼ同様で、以下の記号を使用します。

  • 完全一致の場合:キーワードを角括弧「[]」で囲む。例: [ランニングシューズ]
  • フレーズ一致の場合:キーワードをダブルクォーテーション「””」で囲む。例: “ランニングシューズ”
  • インテントマッチの場合:特に記号を使用せず、キーワードをそのまま入力します。例: ランニングシューズ

Microsoft広告では、Google広告やYahoo!広告と比較して広告運用の仕様が若干異なる部分もありますが、基本的なマッチタイプの設定は共通しています。キーワードの選定やマッチタイプの設定においても、同様のプロセスを踏むことで、効果的な広告運用が可能です。

 マッチタイプにおける注意点

マッチタイプを効果的に使用するためには、いくつかの注意点を把握しておくことが重要です。マッチタイプの設定を誤ると、広告が予想外の検索クエリに表示されてしまったり、クリック単価が上昇してしまうリスクがあります。以下に、マッチタイプにおける注意点を挙げて解説します。

 キーワードの類似パターン

マッチタイプを設定する際、キーワードの類似パターンが影響を与える場合があります。例えば、部分一致やインテントマッチを使用すると、設定したキーワードと似たような検索クエリにも広告が表示されることがあります。このため、類似パターンが意図せず含まれてしまうと、広告のクリック数は増える一方で、コンバージョンが見込めないユーザーに広告が表示される可能性があります。

この問題を避けるためには、定期的に検索クエリレポートを確認し、不要なクエリを除外キーワードとして設定することが有効です。また、類似パターンが含まれる場合には、フレーズ一致や完全一致を適切に使い分けることも重要です。

 除外キーワードのマッチタイプ

除外キーワードを設定する際にも、マッチタイプの選択が重要です。除外キーワードは、広告が表示されることを避けたい検索クエリに対して設定するもので、特定のクエリをブロックするために使用します。除外キーワードにも完全一致やフレーズ一致のマッチタイプを使用できるため、不要なクエリをブロックするためには正確な設定が求められます。

例えば、「無料」というキーワードを除外したい場合には、フレーズ一致で「無料」と設定すると、含まれるすべてのクエリが除外されます。一方で、完全一致を設定することで、特定の検索クエリに対してのみ除外を行うことが可能です。

 同一キーワードで複数マッチタイプを使用する場合

同じキーワードに対して複数のマッチタイプを使用する場合、広告の表示順やクリック単価が変わる可能性があります。例えば、同じキーワードで完全一致とインテントマッチを同時に設定すると、インテントマッチがより広範囲に広告を表示するため、クリック数が増える一方で、コンバージョン率が低下する可能性があります。

そのため、同一キーワードで複数のマッチタイプを使用する場合には、パフォーマンスを細かくモニタリングし、不要なキーワードを除外するか、マッチタイプを調整する必要があります。

 完全一致は文字列の完全一致ではない

完全一致と聞くと、キーワードと検索クエリが完全に一致する場合のみ広告が表示されると考えがちですが、実際にはそうではありません。Google広告やYahoo!広告では、完全一致でも類似した語句や意味が同じと判断されるクエリに対して広告が表示されることがあります。例えば、「ランニングシューズ」を完全一致で設定していても、「ジョギングシューズ」や「ランシューズ」などの類似クエリにも広告が表示されることがあります。

このため、完全一致を設定する際には、検索クエリレポートを頻繁に確認し、意図しないクエリに対して広告が表示されていないかを確認することが重要です。

 まとめ

リスティング広告におけるマッチタイプの選定は、広告の表示範囲、クリック率、コンバージョン率、そして最終的な広告費用に大きな影響を与えます。各マッチタイプの特徴を理解し、広告の目的やターゲットユーザーに応じた使い分けをすることで、広告パフォーマンスを最大化することが可能です。

特に、完全一致、フレーズ一致、インテントマッチ(旧:部分一致)の使い分けにより、ターゲット層にリーチしやすくなり、無駄な広告費を抑えることができます。また、除外キーワードの設定や検索クエリのモニタリングを適切に行うことで、広告効果をさらに高めることができるでしょう。

これまでの解説を基に、自社の広告運用におけるマッチタイプの最適な使い方を検討し、効果的なリスティング広告を運用していきましょう。

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